浄化槽で「水質浄化」に敏感な生活
私の家の周りは下水道が完備されておらず、浄化槽をつけている家がたくさんあります。
1993年に家を建てたとき、下水道がない地域だと聞いて「ええっ! なんと遅れた地域か!」と思ったものでした。が、そのおかげで「合併処理浄化槽」に出合えました。合併処理浄化槽のおかげで、私は「排水」に対してとても敏感になれたと思います。そして、浄化槽のある生活は、決して遅れているのではなく、世界に誇るべき環境先進生活だと思います。
合併処理浄化槽は、トイレのし尿と、家庭の台所やお風呂、洗濯の排水を合併して処理する浄化槽です。各家庭から出る排水を自宅で処理して流すのですから、環境にやさしい生活がごく自然にできるようになります。
たとえば、台所でラーメンの汁をドバドバ流すと、浄化槽から少し臭いが出たりします。浄化槽の中にいる微生物の動きを阻害するようなもの(塩素系の漂白剤など)もガンガン使うと、翌日かすかに臭いが出ます。だからといってすぐに浄化槽がだめになるわけではありませんが、微生物が働いてくれているのだからちょっと気を使おう、という気持ちにすぐなれるのです。だから、お皿を洗うときはちゃんとふき取ってから洗う、ということが自然に身につきました。
法的な基準をちゃんと守り、保守点検をキチンとやっていれば、合併処理浄化槽の排水はとてもきれいです。河川や湖沼に流したとしても、たいていの場合、その河川のBOD値(※)より低い値の水(きれいな水)を流すことになります。河川の水を、よりきれいな水で希釈することになるのです。
★河川に直接流される生活排水
大型の合併処理浄化槽を使った、コミュニティープラントと言うものもあります。これは、団地などで何軒もの家の排水を1か所に集め、浄化槽できれいにして排水するシステム。これも合併処理浄化槽ではありますが、各自の家で処理するのではなくちょっと離れたところで処理するので、下水管が必要になります。家から離れているので臭いも気になりませんが、離れている分だけ気遣いもちょっと浅くなってしまいますし、その分コストが高くなります。やはり自宅で処理するほうが気を使う度合いは高まりますね。
現在は製造されていませんが、昭和40年代頃に広まった単独槽(トイレのし尿だけを浄化するもの)をお使いの家では、生活排水が未処理のまま流されています。この排水をどうやってきれいにするか、厚生労働省や環境省が浄化槽メーカーと手を組んで、いろいろな案を練っています。単独槽を合併処理浄化槽に付け替えるのが一番手っ取り早いのですが、お金がかかること、単独槽よりやや大きくなるため設置場所を確保しなければならないことなど、まだ問題は残っています。場所さえあれば、生活排水だけを浄化する小型の浄化槽を設置する案もあります。
浄化槽は田舎だけで使われるわけではありません。都会でも、大型のマンションや商業施設で使われることがあります。地下に大きな浄化槽が設置され、そこで各家庭や店舗の排水を浄化し、その処理水をトイレの洗浄水に使うところもあります。私は浄化槽のことを知れば知るほど、水を大事に使う気持ちが出てきました。浄化槽のある暮らしが環境先進生活だ、というのはそういうわけなのです。
※BOD値(生物化学的酸素要求量):有機物汚染の度合いを示す基準。汚水中の有機物が微生物に分解されて無機化、あるいはガス化される際に消費される酸素の量のこと。数値が大きいほど水質が汚濁していることを意味する。
2010年11月25日
by akaboshi-ryuu-ego
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