町おこしは、きれいな川から

f0322969_1071735.jpg 「日本水大賞」は、地球上の水環境を良くするために活動している人たちに贈られる賞です。名誉総裁は秋篠宮殿下、委員長は毛利衛さん。私も審査員の一人として、13年間にわたり携わっています。

 毎年、市民団体、学校、企業、自治体などからたくさんの応募があります。みなさん素晴らしい活動をなさっていて甲乙つけ難く、審査は毎年難航します。今年も選考に時間がかかりましたが、ようやく各賞が決まり、6月21日に授賞式が行われました。

 今回の大賞は、「水辺に人が集まるまちづくり~吉野川をはさんだ水際交流拡大プロジェクト~」という、大変有意義なものでした。川をきれいにするだけでなく、観光客まで呼び込むという活動ですから、町おこしに大きく役立っているのです。

 これは「特定非営利活動法人・新町川を守る会」(徳島市)の活動です。この会は、もともとは汚れた新町川を再生させるために1990年に設立されました。高度成長期のころ、新町川は工場排水や家庭排水で汚れが進み、魚もいなくなったそうです。その惨状を見かねた市民から「自分たちで汚した川は自分たちの手で再生しよう」という声が生まれ、その後ずっと地道な活動を続けてこられました。最初は有志だけの集まりから、次第に自治体や企業の協力も得られるようになり、活動は大きくなっています。

「川は、人に見られるほど美しくなる」

 河川の清掃だけに留まらず、釣り大会やサミットの開催、周遊船運行など、観光客も喜ぶ活動が盛りだくさんです。周遊船は昭和初期まで交通手段として使われていた撫養むや航路を復活させたもので、美しい川とその周辺の文化を体験してもらうために実施されていますが、始めた当初は年間100人に満たない乗船数だったとか。今は年間5万人を越えるそうです! 地道な活動をコツコツと長く続けてこられた成果がここに実っていますね! 他にも「吉野川フェスティバル」を開催すると3日間で5万人もの観光客が訪れるそうで、これはすごい集客数だと思います。

 私が特に素晴らしいと思ったのは、観光客や来訪者の滞在時間を増やすためのさまざまな工夫です。エコというと、「とにかく利益を度外視して崇高な精神だけでやり遂げるもの」、と思われがちですが、それでは何事も長続きしません。ただ環境を良くするだけでなく、見に来てくださる人を増やすことも大事なのです。

 その一つとして、撫養航路の乗船料が片道100円(保険料のみ)なのに、往復だと1000円という面白いシステムがあります。これは終点で降りてもらい、町を散策して欲しいという願いから作られた料金システムなのです。こういう小さな工夫が町を歩く人や川を見てもらう機会を増やします。

 「川は、人に見られるほど美しくなる」という言葉が、応募書類にありました。まさにその通りで、毎月二回の清掃活動を目の当たりにすると、会のメンバーでなくてもごみを拾う人が増えていきます。かつては魚も住めないほど汚れていた川に30種類もの魚が戻り、今では大きなクロダイも釣れるそうです。

(2011年06月23日
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by akaboshi-ryuu-ego | 2014-08-04 10:02 | エコ全般


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