漆器の傷、塗らずに直す

f0322969_1821135.jpgうちには漆塗りのテーブルがあります。あるとき、このテーブルに傷をつけられたことがありました。コーヒーの受け皿を引きずったあとがくっきりついたのです。

 このテーブル、もともとは白木の座卓でした。これを知り合いの漆器専門店の方の紹介で、美大の工芸科の先生に漆を塗ってもらったのです。漆は何度も塗り重ねるので、戻ってくるまで半年以上かかりました。そういう手間のかかったテーブルに、戻ってきて数日で傷がついたのです。ものすごくがっかりして、漆器専門店の方に相談すると、すごい修復方法を教えてくれました。

 「漆は柔らかいので、毎日手でなでていると傷が埋まって目立たなくなりますよ」といわれたのです!! ええっ、そんな簡単な方法でこの傷がなくなる!? びっくりして、半信半疑でしたが、とにかく毎日手でやさしくなでてみました。初日は何も変らなかったのですが、日が経つうちに明らかに傷が薄くなってきました。

 実は、傷をつけた人があわててお詫びに来たのですが、二週間くらい経っていたので、傷がほとんど目立たなくなっていたのです。「すごい傷がついたと聞いたのに、こんな薄い傷で大騒ぎしたのか?」と思われたかもしれません。でも、本当に、最初はくっきりついていたんですよ。それが「なでる」という方法で薄くなるなんて、漆は素晴らしいコーティング材です!

★丁寧に扱う「クセ」を育てる

 漆のお椀も、しまいこむより、毎日使って洗ったあとに柔らかい布でやさしくふくことで、しっとりしたツヤが出ます。これもお店で伝授されたことです。私は幸いなことに、こういうことを教えてくれる漆器専門店と知り合うことができました。ここで買ったものは、欠けたり傷ついたときには塗り直しをしてくれます。他のお店でも必ず修理をしてくれるはずです。漆器とはそもそもそういうものなのですから、漆器を買ったら必ず電話番号など控えておいてください。製造元に問い合わせてもいいですね。

 プラスチックのお椀や道具はなかなか壊れませんが、いったん傷つくと修理がききません。ガムテープで補修したプラスチックのお盆を一時使っていたこともありますが、あまりにも情けない見た目に、さすがに数か月使って捨てました。でも漆器なら修理がきくんですよ! 

 漆器は確かに高価です。修理にもお金がかかります。でも、だからこそ大事に扱うようになります。いや、安いものも丁寧に扱うべきなんですが、根がガサツで貧乏性の私は、高いものだと丁寧さに気合が入ります。それで慣れた丁寧さが、安物を使うときにも影響を与えています。漆のテーブルの傷を見てからは食器を引きずらなくなりましたから!

 漆器の需要が伸びることは、日本の伝統工芸の職人さんを支えることになります。さらに、漆を採取するために山に入る人が増えれば、山の保全にもつながります。漆器は修理がきくだけでなく、いろんな面でエコなんだなあと思います。

2011年02月17日
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by akaboshi-ryuu-ego | 2014-07-18 00:00 | もったいない・昔の知恵


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