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赤星流「セーターのまとめ洗い」

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 普通は3月の終わりに厚手のセーターやカーディガンを洗ってしまうのですが、今年は寒くてなかなか衣替えが出来ませんでした。ようやく昨日、セーターを8枚、大判ストール2枚、カーディガンを1枚洗いました。すべてウール100%です。

 以前にも石けんでウールを洗うときのやり方を書きました。無添加の石けんをよく溶かして洗う、ということでしたが、あれは1~2枚を洗うときの話です。今回は枚数が多いのでちょっと工夫をしました。

 無添加石けんだけでセーターを洗うと、汚れ(たいていの汚れは弱酸性です)が溶け出し、石けん液がすぐ酸性に傾いてしまいます。1~2枚なら問題ありませんが、10枚も洗うとなると大変です。1~2枚ずつ石けん液を取り替えるといいのですが、ちょっともったいないし面倒です。

 石けん液のpH(アルカリ性の強さ)を一定に保つには、やはりアルカリ剤が必要です。普通の洗濯石けんには炭酸塩(炭酸ナトリウム)が配合されていて、これはpH11.2というアルカリ性の物質です。このおかげで石けん液に汚れが溶け出してもすぐに酸性に傾かないのです(このへんの科学的な話は、ぜひ「アルカリ緩衝作用」で検索してみてください)。

★大量洗いにはアルカリ助剤

 さて、無添加石けんとは、石けんだけでアルカリ剤や香料が入っていないものです。1~2枚の衣類なら無添加石けん液で洗っても大丈夫ですが、10枚ともなると、やはりアルカリ剤を入れたほうが、石けんの洗浄力が長持ちします。その際、石けんのpHより高い炭酸塩を入れたら動物性の繊維は硬くなってしまいますから、石けんよりpHの低いアルカリ剤を使います。それが「セスキ炭酸ソーダ」です。

 セスキ炭酸ソーダは、炭酸塩と重曹のちょうど中間の性質を持つアルカリ剤です。セスキ炭酸ソーダが手元に無い場合は重曹を入れてもいいのですが、重曹はpH8.2というごく弱いアルカリ性。石けん液のpHが下がりすぎて(実際に実験したところ、石けん液がpH8.7まで下がったことがあります)、洗浄力が長続きしません。重曹を入れた場合は、枚数を2~3枚以内にしたほうが無難です。

 というわけで大量に洗うときはセスキ炭酸ソーダ。インターネットだとすぐに買えますが、実際の店舗だと、自然食品を売っているようなお店に置いてあることがあります。また、そういうお店では、こんにゃく作りのために炭酸塩(炭酸ナトリウム)を売っている場合がありますが、その炭酸塩と重曹を、ほぼ同じ重さ1:1で混ぜたものがセスキ炭酸ソーダと同じ性質になりますから、それを石けん液に混ぜても大丈夫です。

 実際に洗濯したときは、洗濯機の洗濯槽にお湯(40度程度)を20リットルほど入れ、そこへ液体石けんを適当に入れてかき混ぜました。よく泡立っていることが大切なので、特に量は量りませんでした。そこへセスキ炭酸ソーダを大さじ2杯ほど入れてかき混ぜ、洗濯液を作りました。この中に1枚ずつ入れて押し洗いし、たらいやバケツに取りだします。全部洗い終わったら一度脱水します。脱水することで石けん液が絞られ、すすぎがとてもラクになります。洗い方、脱水の仕方、干し方などは以前の記事を参照してください。

 というわけで、セーターを大量に洗うときは、ぜひセスキ炭酸ソーダも使ってくださいね。

2010年04月22日

by akaboshi-ryuu-ego | 2014-06-06 00:58 | 洗濯・石けん


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